
第一話「初心の朝」
ミオは新人パン職人として、パン屋の厨房に足を踏み入れた。まだ空が暗い早朝、粉の香りと酵母の甘い匂いが立ち込めた空間。先輩たちは黙々と手を動かし、次々とパンの生地を仕込んでいく。ボウルから取り出された生地、それを棚に並べられていく光景。ミオの小さな両手は、自分もそこに加わる日への期待で震えていた。そして、展示台に並ぶパンの中で、ミオの視線は一つのパンに釘付けになった。三日月型の美しいクロワッサン。黄金色に輝く表面、層状に折り重なったテクスチャー。いつか自分もあんなふうに作れたら——そう思いながら、ミオはエプロンの紐をしっかり締めた。














